少子高齢化や都市部への人口集中など、お墓を管理していくことができず、墓じまいをする人が急増しています。
その一方で、書類の手続きが面倒であるとか、関係者との調整やトラブルが不安であるなどの理由で、なかなか手がつけられない方も少なくありません。
しかし、起こりうるトラブルを知り、きちんと手順をふみ、難しい部分を代行業者に依頼するなどすれば、スムーズに墓じまいを行うことができます。
今回は、墓じまいで起こりうるトラブルと、その回避方法、手続き代行業者選びのポイントについてご紹介します。
目次
墓じまいのトラブル例と回避方法
墓じまいにあたり、思わぬトラブルや面倒な問題に直面することもありますが、回避方法を知っておけば恐れることはありません。
まずは、トラブル例とその解決方法を見ていきましょう。
墓じまいで親族間のトラブルと回避方法
墓じまいは、手続き的に祭祀継承者(墓地の名義人)が単独で行うことができますが、他の親族に相談無しにすすめて待ったがかかったり、その後の関係が悪くなったりする可能性があります。
お墓の存在が心の拠り所となっていたり、他人のお骨と合祀することへ抵抗があったり、墓じまいを望まない親族がいる可能性がある事を心得ておきましょう。
また、費用の負担でもめることもあります。
墓じまいには、現墓地の撤去費用だけでなく、閉眼供養のお布施、石材店に支払うお骨出しの費用、改葬先を求める際の費用(永代使用料や永代供養料等)、埋葬料、場合によっては離檀料(寺院の墓地を撤去する際に必要になることがある)などがかかります。
これらの費用を、単独で用意するのか、兄弟らで分担するのか、話し合う必要があるでしょう。
いずれにせよ、円満に解決していけるよう、法事や食事会など親族が集まる機会を作り、お墓の維持が困難なこと、墓じまいをしようと思っていること、そして、その負担をどうするかなど、親族みなで話し合うことが大切です。
【墓じまいに伴う主な費用一覧】
- 墓石撤去費用
- お骨出し(改葬)費用
- 改葬先を求める費用(永代供養料など)
- 改葬先の埋葬料
- 離檀料(場合によって)
墓じまいで寺院とのトラブルと回避方法
寺院にあるお墓を片付けるにあたり、法外な離檀料を求められた、という話を聞くことがあります。
離檀とは檀家を辞めるということですが、まず、無理にその寺院から抜ける必要はなく、同じ寺院内で永代供養をしてもらうという方法もあります。
昔からお世話になっているお寺であれば、他の親族とも付き合いがあるケースが多く、お寺に失礼のないよう、穏便に事を運ぶことが重要です。
まずは、お墓の維持が困難なことを相談し、どういう方法があるのか尋ねてみましょう。
【関連記事】檀家をやめたいと思ったら|菩提寺のメリットと離檀によるデメリット
墓じまいでの撤去費用に関するトラブルと回避方法
石材店や墓地撤去業者に、高額な費用や追加費用を請求されたというケースがあります。撤去費用の相場は1㎡あたり10万円程度といわれていますが、お墓の立地や形状によっては高額になることもあります。
そんな費用に関する食い違いをなくすためには、実際に現地を確認してもらうか、現場写真を見てもらうなどして、事前にできるだけ正確な見積もりを出してもらうことが肝心です。
また、その撤去費用の中に墓石の処分費用まで入っているかなど、どこまでのサポートが含まれているかも確認しておく必要があります。
可能であれば、複数の業者に見積もりを出してもらうのがよいでしょう。
墓じまいで連結するお墓のトラブルと回避方法
お墓の中には、一つの区画の中に複数の墓石が並ぶ「連帯墓地」「連結墓所」などとよばれるお墓があります。
主に、一族や団体などの墓地で、基礎の部分が地続きになっていたり、区画全体を囲う石の外柵があったりします。
そのうちの一つを墓じまいしようとする場合、大掛かりな作業となる上に、自家の墓地部分を撤去した後の修復工事も必要で、費用もかさみます。
工事となると他家のお墓にも迷惑をかけることになるので、同じ区画に墓地をもつ親族らに相談し、撤去後の修復についても十分検討するようにしましょう。
墓じまい代行業者の選び方
墓じまいは、各関係者との調整、次の埋葬先や解体業者の選定、関係各所からの書類の取得や役所への提出、閉眼供養などの宗教儀式、お骨の取り出し、次の埋葬先への納骨と、大変な労力と手間がかりますので、墓じまい代行業者は大変心強い味方となります。
しかし、墓じまい代行とうたいながら、トータルしてサポートを受けられない場合もあるのです。
ここでは、代行業者選びに失敗しないために、実際に、どんな業者があって、どこに依頼するのがよいか、整理していきたいと思います。
墓じまいの手続きまで依頼できる代行業者の選び方
墓じまい代行を掲げる業者は、大きく分けると、「行政書士を主とする業者」「石材店など、墓地解体業者を主とする業者」となりますが、それぞれの行える業務は異なります。
「行政書士」は、改葬許可申請など行政上の書類手続きを行うことができますが、墓地解体の実務は、業者の手配、監督という形に留まります。
一方、「墓地解体業者」は、解体業務を行うことができますが、行政手続きは提携する行政書士に委託するか、なければ自身で行わなくてはいけません。
つまり、行政上の書類手続きを含めた代行を希望する場合は「行政書士を主とする業者」または「行政書士と提携する墓地解体業者」を選ばなくてはいけません。
ニーズにあった墓じまい代行業者の選び方
代行業者のサービスが異なる中、最適な業者を選ぶには、どうすればよいのでしょうか?
まずは、主に代行してもらいたい作業が何であるかを知ることが重要です。
墓地撤去などの実務のみでよい場合は、「石材店など墓地解体業者」に依頼すれば十分です。
各関係機関との書類のやりとりや行政手続きのみ代行してもらうのでよければ、「行政書士事務所」に依頼すればよいでしょう。
手続きから墓地解体まで一貫して代行してもらいたい場合は、「墓地解体業者の手配を行える行政書士事務所」または、「行政書士と提携する墓地解体業者」に依頼しましょう。
親族や宗教者、業者との間で、なんらかのトラブルが発生している場合は、「弁護士事務所」へ相談しましょう。
供養方法や次の納骨先の選定からトータルで相談にのってもらいたい場合は、「全国の墓地や納骨堂を紹介、斡旋するポータルサイト」を窓口とすれば、永代供養や散骨、自宅供養など様々な選択肢に応じた墓じまいサービスを選択することができます。
いずれにせよ、改葬や墓じまいの実績があって、価格を明確に提示してくれる、見積もりだけでも親切に対応してくれるなど、信頼できる業者、事務所を見つけることが大切です。
墓じまいのまとめ
墓じまいを考えながら、多忙、高齢、現墓所が遠方などの理由で、なかなか踏み出せない方も多くいらっしゃると思います。
しかし、手続きを後回しにしていると、先祖のお墓を無縁仏にしてしまったり、子供や他の親族に迷惑をかけてしまったりということになります。
墓じまいは何かと面倒事が多いように思いますが、トラブルになりうる原因を知った上で、ちゃんと手順をふんでいけば問題はありません。
また、最近は、パソコンやスマートフォンから、簡単に、墓じまいの情報を得たり、最寄りの墓じまい代行業者を探すことができます。自身での作業が困難な場合は、代行業者に手伝ってもらうのも一つの手段です。
まずは、元気なうちに、墓じまいについて親族と相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
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