百箇日法要とはどんなもの? お布施や着ていく服についても知りたい。
人が亡くなった場合、多くのご家族がお葬式を挙げます。またそのあとに、一連の法要を行うこともあるでしょう。
今回はそのなかから、百箇日法要(ひゃっかにちほうよう)を取り上げます。※百ヶ日法要と記すこともある。
目次
百箇日法要とは亡くなった後の百日目に行う法要
その名前の通り、百箇日法要とは人が亡くなった後の百日目に行われる法要です。
一般的に法要は、「初七日法要」「四十九日法要」を経て、この百箇日法要に至ります。もっとも現在では、初七日法要は「亡くなって一週間目のタイミングで行うもの」ではなく、火葬の後にすぐに行われることが多いものとなっています。
昔とは異なり、住む場所・働く場所が「同じ地域」でなくなった今、1週間目のタイミングで再び集まるのは難しいからです。
さて、この百箇日法要は、儒教の教え・考え方に基づいています。
儒教では「士(男子、特にすでに独立している立派な男性を指す)は三か月で哀切極まる慟哭を卒業する」という考え方があります。どれほどの悲しみがあっても、三か月を基本としてその悲しみに区切りをつけて、そこから日常の生活に戻っていくのだという決意を感じさせる言葉です。
仏教は儒教の考え方とも通じるところがあるため、この考え方に基づいて「百箇日法要」というものができたのだと考えられています。また、その儒教の教えを受け継ぐ形で、百箇日法要は「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれ、家族が嘆き悲しむ痛哭(つうこく)から卒業するという意味があります。
加えて、三か月ほど経つと人の体は白骨化するため、魂もまたかつての体と別れるという考え方もできます。
百箇日法要は、「いつもと同じ生活」「元の生活」に戻るための法要だとも言われています。遺品の整理を行い、遺産などについても整理をします。日本の法律においては、相続も三か月までのタイミングで行われますから、法律的にも一つの区切りとなるでしょう。
ただ、現在では仏教を信仰するご家庭であってもこの「百箇日法要」は行わない、というご家庭もあります。百日目のタイミングで集まるのは難しいということ、お金もかかるということが理由の一つでしょう。
また、芸能人などの著名人が偲ぶ会を開く時期も百か日の時期が多いようです。
百箇日法要を行わない場合は、四十九日法要の次の法要は一周忌法要となります。
百箇日法要の当日の流れ
百箇日法要の当日の流れとして、基本的には以下の流れとなります。
施主の挨拶
参列者へ来てくれたことへの感謝とこれから僧侶に読経をしてもらう事など、施主から簡単な挨拶を行います。
僧侶による読経
僧侶の読経がはじまります。
焼香
僧侶の指示するタイミングで、故人と血縁関係が近い順に焼香を行います。
会食(お斎)
事前に依頼した会食会場に移動して、施主による簡単な挨拶の後に故人との思いでを語りながら会食を行い、終了後は基本的には解散となります。
百箇日法要のお布施と香典(不祝儀)袋について
それではここからは、百箇日法要を行う場合のやり方や流れ、持っていくべきものなどについて見ていきましょう。
「施主側」と「参列者側」によって、その対応は異なります。
百箇日法要で施主側が宗教者に支払うお布施
各回忌法要と同様に、百箇日法要のお布施は30,000円~50,000円程度をお渡しするというケースが多いです。
また、読経を依頼した宗教者に自宅や墓地などに足を運んでいただく場合は、お車代として5,000円~10,000円程度、会食に参加されない場合は、御膳料として5000円~10000円程度をお布施とは別にお渡しするとより丁寧です。
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百箇日法要で招かれた側の香典(不祝儀)
では、「施主側」ではなく、「百箇日法要に招かれた側」のときはどうすればよいのでしょうか。
この場合は、香典(不祝儀)袋に5000円もしくは10000円を入れて香典を持参するのがよいとされています。
葬儀のときにはどの宗派でも使える「御霊前」という言い回しですが、百箇日法要の香典(不祝儀)袋は「御仏前」あるいは「御供物料」などのような表記を用います。
水引は双銀のものを選ぶと失敗がありませんが、地域によっては黒白・水色と白色・黄色と白色などを用いることもあります。
なお、お供物を実際に持っていくかどうかいうのは判断が分かれるところですが、現在は「お墓には食べ物は供えられない」としているところもあります。
そのため、持ち帰ることが前提のお供物を手配するとよいでしょう。
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百箇日法要の服装と挨拶について
次に百箇日法要での服装と挨拶について見ていきましょう。
百箇日法要での服装
百箇日法要の時に着用する服装に関しては、基本的には喪服が無難です。
しかし特に「平服で」などのようなアナウンスがあった場合は、地味な色合いの服装で行っても構いません。特に「足元が不安である」などのように身体的な心配がある人の場合は、色合いの落ち着いた、動きやすい服装を選んでも問題はないでしょう。
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百箇日法要で施主側の挨拶
施主側として、百箇日法要のあいさつをする場合は、簡潔に行うようにしましょう。
参列をしてくれたことへのお礼と、百箇日法要を執り行う旨のアナウンスくらいで十分です。(これに宗教者へのあいさつが入ることもあります)
百箇日法要で招かれた側の挨拶
招かれた側が全体の前で挨拶を求められる事は特にないですが、当日施主に会った際に交わす挨拶として、先ずは招いてくれたことへのお礼を述べます。
そしてそのあとに、「今まで大変だったことをねぎらう言葉」「一緒に供養するという意思」を表す言葉を添えればよいでしょう。
「本日はお招きいただきありがとうございました。いろいろと大変でしたでしょう。今日は一緒に供養をさせていただきたく思います」などのような言い回しです。
百箇日法要のお供え物と供花
百箇日法要のお供物は、故人の生前好きだった果物やお菓子などを用意すると良いでしょう。
仏教では殺生は罪という教えがありますので、お供え物に肉や魚は避けましょう。
供花は、四十九日までは悲しみを示す白色を基調とするしきたりがありますが、百箇日法要は、寒色系であれば、故人が生前に好きだったお花をお供えしても問題ありません。
お供物も供花も自身で事前に用意することが難しい場合は、法要を行う寺院や斎場に手配を依頼すると安心して当日を迎えられるはずです。
後ほど触れますが、百箇日法要後にお墓参りも行う場合は、お墓用の供花も用意しましょう。
百箇日法要後のお墓参り
すでにお墓等に故人を納骨している場合は、百箇日法要後にお墓参りにもしましょう。
お墓にお供えするお花の手配と、お墓掃除を事前にしておくのがベストです。
百箇日法要に合わせて納骨を行う等の理由が無い限りは、基本的には僧侶は墓前に来ませんので、参加したご家族やご親戚だけでお墓参りをするのが一般的です。
百箇日法要後の会食(お斎)
百箇日法要の際に会食も行う場合は、会場や食事の手配を斎場を運営する寺院や葬儀社等に事前に手配する必要があります。
身内だけで行う百箇日法要の場合は、会食は省いても問題ないです。
この法事の際に行う会食の事をお斎(おとき)と呼びます。
百箇日法要まとめ
ここまで、百箇日法要に関して、執り行う施主側と招かれる側の必要な準備や挨拶に関してご紹介させていただきました。
昨今では、百箇日法要に合わせて納骨も行う場合を除いては、百箇日法要をしないか、家族のみで行うなど小規模の場合が多いです。
前後に重要な『四十九日法要』と『一周忌法要』があるので、施主も親族も負担を少なくしたいと考える流れなのではないかと感じます。
上記の理由等で百箇日法要を行わない場合も、家族一緒に仏壇やお墓に手を合わる時間をつくれば問題ないと著者は考えます。
そこに故人を想う気持ちがあれば良いのではないでしょうか。
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