仏教の葬儀では、お坊さんを「僧侶」を呼ぶことになります。
ただ、なかには僧侶が複数人来る場合もあります。
このときは、お布施などはどうすればよいのでしょうか?
「僧侶が多く来るケースとはどんなものか」「複数来た場合はどのようにしてお布施を渡せばいいのか」などについて解説していきます。
目次
僧侶が複数人来る意味
多くの人は、葬儀に来る僧侶は1人だけだと認識しているでしょう。
しかしこれは実は正しくはありません。
実際にはかなり多くのケースで、複数人の僧侶が来ることがあります。
僧侶の数は、一般的に、葬儀の規模が大きくなればなるほど増える傾向にあります。
僧侶が複数人来る場合が多い事例
僧侶が複数人来る事が多いケースとして以下の3つがあります。
社葬
社葬(会社として行う葬儀)などの大型の葬儀の場合(また、「社葬」というかたちはとらなくても、それに近い規模の葬儀の場合)は5人以上の僧侶がやってくることもあります。
葬儀自体が長くなることもありますし、人数が多くなるとやはり荘厳な雰囲気になりますから、これはごく自然なことです。
地方の葬儀
地方や葬儀会社によって多少の違いはありますが、現在でも地方などは、一般的な葬儀でも2人以上の僧侶が来るケースも見られます。
ただ、現在は家族葬を選ぶケースも多くなっています。
このようなケースの場合、葬儀の規模も極めて小さくなるため、複数人の僧侶が来る可能性は決して高くはありません。
多くの場合、導師(僧侶)が1人でやってきて、通夜~葬式~火葬~初七日法要までをこの導師が務めます。
喪主が希望した場合
もちろん、「小さい葬儀であっても、僧侶の数は多くしたい」「故人は非常に信心深い人だった。
葬儀は小規模なものにするが、僧侶にはたくさん来てほしい」と家族側が希望すれば、複数人の僧侶を呼ぶことは可能です。
ただし、このようなケースは非常に珍しいといえます。
お願いしていないのに複数の僧侶が来た場合の対処方法
「それほど大きな規模の葬儀でもないのに、家族に断りもなく複数人の僧侶が来た」ということで、家族が戸惑うケースも実際にあります。
さて、複数人の僧侶が来る場合、彼らの「立場」は一律ではありません。
複数人の僧侶のうち、メインとなるのは1人だけです。
その立場の人は特に「導師」と呼ばれます。
また、導師は、上でも挙げた通り、1人しか来ない場合でもこの呼び方が取られます。
導師が一番重要な立場を担い、葬儀における宗教者の代表となります。
なお、余談ではありますが、僧侶が支度をする部屋の呼び方として「(ご)僧侶(様)控(え)室」というものがありますが、ここから「(ご)導師(様)控(え)室」という言い回しを使う場合もあります。
ほかの僧侶は、「脇導師」あるいは「副導師」と呼ばれます。
彼らは導師の側に控え、読経などを一緒に行います。
導師は故人の菩提寺の僧侶が務めますが、脇導師は必ずしもそうとはいえません。ほかの寺院の僧侶が務める場合もあります。
脇導師へのお布施はどうするか?
恐らく、もっとも迷うのは「脇導師へのお布施はどうするか」というところでしょう。
導師にお布施を渡すことは当然として、脇導師にはどれくらいのお布施を渡せばよいのかを迷う人は非常に多いと思われます。
ここで判断基準となるのは、「家族側が、脇導師を呼んだかどうか」です。
脇導師を家族側が依頼したのであれば、当然彼らにもお布施を渡す必要があります。
ただ、そうではない場合は渡す必要はないというのが専門家の見方です。
「頼んでいなくても来た人には全員渡さなければならない」となると、家族側の負担が非常に多くなってしまいます。
ただ、それでも「来ていただいているのに渡さない」という判断は、心境的になかなか難しいと思われます。
そのため、迷ったのであれば、御膳料と車代を合わせた程度の金額を渡すのがよいでしょう。
御膳料は5000円~10000円程度です。
「家族側から依頼した」あるいは「頼んではいなかったが、やはりきちんとお渡ししたい」
という場合は、導師にお渡しする金額の3分の1程度をお渡しするのがよいかと思われます。
導師にお渡しする金額は、10万円~60万円程度だとされていますから、これの3分の1程度をお渡しするのです。
もっとも、人数が多くなれば多くなるほどこの負担は大きくなるので、費用面の負担はかなり大きくなります。
まとめ
「脇導師をどう考えるか」「脇導師へのお布施はどうするか」というのは、地域によって非常に大きく変わります。
上記で述べたように、「脇導師が来ることは珍しくない」という地方もあれば、「脇導師がなぜいるのか、その意味すら分からない」とする考えもあります。
そのため、迷ったのならば、地域の風習や寺院に精通した葬儀会社に相談するようにするとよいでしょう。