海洋葬とは?費用や散骨手順とメリットとデメリットを解説

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海洋葬散骨の様子

葬儀・埋葬のかたちが多様化している現在、「海洋葬」もまたメジャーな選択肢になりつつあります。

ここではこの「海洋葬」を取り上げて、その概要とメリットデメリット、実際に海洋葬を実施するときのポイントについて解説していきます。

 

 

海洋葬とは?その魅力と注目される理由

海洋葬の魅力とは

海洋葬とは、「海への散骨」を指す言葉です。細かく砕いたご遺骨を海に撒く埋葬方法であり、そのルーツは平安時代にまでさかのぼることができるといわれています。

 

海洋葬は、「自然のなかに還りたい」「墓を持ちたくない」と考える人に愛される方法であり、海を愛していた人などに向いている選択肢です。

 

なお、「海洋葬」と「水葬」は、文字だけを見ると似ているもののように思われますが、別物です。海洋葬は「細かく砕いたご遺骨」を海に撒くものであるのに対して、水葬は「ご遺体そのもの」を海などに流すやり方です。ちなみに水葬は、日本では非常に特別な条件下(航海中の船で死亡者が出て、かつ衛生的な観念から船内で保管することが難しいと判断される場合など)でしか認めていられないものであり、海洋葬とは区別されます。

 

 

海洋葬のメリットとデメリット

海洋葬のメリットとデメリット

ここからは、海洋葬のメリットとデメリットを解説していきます。

 

【メリット】

1.自然のなかに還ることができる
2.費用が抑えられる
3.継承者がいなくても問題ない
4.環境負荷が少ない

 

【デメリット】
1.「手を合わせる場所」がなく、ピンポイントでのお参りができない
2.心理的な抵抗感がある人も多い
3.二度とご遺骨を手元に置くことができない

 

それぞれ見ていきましょう。

 

 

メリット

1.自然のなかに還ることができる
海洋葬の大きなメリットとして、「生命を生み出した大海原に抱かれて、安らかな眠りにつけること」が挙げられます。
樹木葬や海洋葬は「自然葬」に分類されますが、自然のなかで宗教に囚われずに眠ることができることは、自然を愛していた人にとって、非常に魅力的な選択肢となります。

 

2.費用が抑えられる
詳しくは後述しますが、海洋葬に必要な料金は3万円~50万円程度です。
一般的な墓地を一から建立する場合の平均費用は150万円程度ですから、それに比べると、海洋葬は非常に安上がりな方法だといえるでしょう。
ただ、「すでにお墓があり、宗教的な儀式は行わずにそこに入れるだけ」「共同の合葬墓を使う」という選択肢がある場合は、海洋葬の方がかかる費用が大きくなることもあります。

 

3.継承者がいなくても問題ない
海洋葬の非常に大きなメリットとして、「継承者がいなくても問題ない」という点が挙げられます。
「散骨」のかたちをとる海洋葬は、お墓の管理を必要とせず、また手元供養の「結局これをどうしよう……」となる悩みとも無縁です。
また、「親と子で、信仰している宗教が違う」「子どもはいるが、遠方に住んでいる」「墓じまいの手間もかけたくない」という場合でも、海洋葬なら問題なく行えます。

 

4.環境負荷が少ない
解釈によっても多少異なりますが、海洋葬はもっとも環境負荷が少ない埋葬方法のうちのひとつだとされています。
造成工事を必要とせず、自然を自然のまま活用することができるからです。このようなことから、海洋葬はSDGsの観点からも注目を集めています。

 

 

デメリット

1.「手を合わせる場所」がなく、ピンポイントでのお参りができない
従来型のお墓は当然として、樹木葬でも納骨堂でも合葬墓でも、「手を合わせる場所」があります。故人のご遺骨を埋葬しているスペースがあり、そこにピンポイントで手を合わせることができます。
しかし海洋葬の場合は、海まで出てそこでご遺骨を撒きます。ご遺骨はそこにとどまり続けることはありませんし、お参りをするために再度訪れてもピンポイントで手を合わせられることができるわけではありません。
また、お参りをするためには都度乗船しなければいけません。

 

2.心理的な抵抗感がある人も多い
海洋葬を行うためには、ご遺骨を粉々に砕く必要があります。また、「ほかの家族と一緒に眠ることが不可能になる」ということで、心理的な抵抗感がある人も多い方法です。
海洋葬を行うのであれば、ご親族との話し合いは必須です。

 

3.ご遺骨を手元に戻すことができない
海洋葬は、一度行ってしまうと、二度とご遺骨を手元に戻すことはできません。

樹木葬も基本的には改葬が難しい方法ですが、霊園と埋葬方法を選べば、後年になって再度ご遺骨を取り出すことができる場合もあります。なお合葬墓の場合も「一度入れると二度と取り出せない」とされますが、ごくごく一部の団体では「合葬墓を選んでも、50年間は個別で保管する」というところもあります。
しかし海洋葬の場合は、これができません。

 

 

海洋葬を実施するときに知っておきたいこと~費用・業者の選び方・書類手続き

海洋葬の費用

海洋葬にかかる費用は、船の使い方によって変わります。

業者に任せる、家族は乗船しない  3万円~5万円
数家族で乗り合わせる 10万円~20万円
一家族のみで借り切る  20万円~50万円

 

海洋葬は、特別な書類などは必要としません。
ほかの埋葬方法と同じく、埋葬許可証(火葬許可証に、火葬済みの印鑑が押されたもの)があればできます。ただし改葬の場合は改葬許可証が必要となることがあります。
埋葬許可証は、多くの場合、葬儀会社に依頼→葬儀会社が手続き代行→埋葬許可証としてご遺族に渡される という流れを取るので、とまどうことはないでしょう。
改葬許可証の場合は、「新しい受け入れ先から受入証明書をもらう→現在のお墓があるところの市役所から改葬許可申請書を貰う→現在のお墓があるところから埋葬許可証をもらう→これらをそろえて、市役所から改葬許可書を出してもらう」の流れで取得するのが基本です。ただし海洋葬についてはこの改葬許可証の取り扱いがケースによって異なることもあるので、確認した方がよいでしょう。

 

 

海洋葬の業者を選ぶポイント

海洋葬散骨に対応した会社の選び方

・料金説明がクリアでわかりやすいか
・対象エリアは希望通りのところか
・スケジュールを柔軟に決められるか
・極端に評価が低いあるいは極端に評価が少ないところではないか
を確認して選ぶとよいでしょう。

最後の居場所として海を選びたい人におすすめの「海洋葬」ですが、海洋葬ならではの難しさもあります。しっかり相談して、故人ご本人・ご家族・ご親族、全員が納得できる選択にしたいものですね。

 

 

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