「田舎にある誰も住まなくなった実家の仏壇をなんとかしたい」
「ずっと実家で仏壇と位牌を祀ってきたが、亡くなって随分経つ人のものも祀られているので処分をしたい」
「海外に永住することになったので、仏壇と位牌をこのまま持っておくことは難しい」
「自分は子どもを持たなかった。先祖代々の仏壇と位牌があるが、これも自分の代で終わりだから、処分してから旅立ちたい」
このようにさまざまな事情で、仏壇と位牌を処分したいと考える人がいます。
少子化が進んだ今、祭祀を受け継ぐ人がいなくなってしまうというケースも見られます。
都心部に住んでいる人の場合、物理的に仏壇と位牌のためのスペースを確保することが難しい場合もあるでしょう。
加えて、「仏壇と位牌を持つこと」に対して、あまり思い入れがない……という人もいます。
このような場合、仏壇と位牌はどうすればよいのでしょうか。
仏壇と位牌の処分に関して法律的には?
仏壇と位牌の引き取りなどをやっているところのホームページを見ると、「仏壇と位牌を処分する場合は、閉眼供養などをしなければならない」「閉眼供養をしなければ、処分することはできない」などのように書かれていることがあります。
たしかにこれは大切なことではあるのですが(後述します)、単純に「法律面」から見れば少し様相は変わってきます。
実は、仏壇と位牌は「粗大ごみ」「燃えるごみ」として捨てることができます。
特に位牌の場合は、ごみ袋に入れてそのまま捨ててしまってもまったく問題ありません。
一般的な紙ごみなどと同じようにして処分しても良いのです。制約があるとすれば、「位牌の素材がクリスタル素材などである」というときくらいであり、木でできているのであればそのまま捨ててしまって構いません。
仏壇の場合は、自治体の粗大ごみ回収などを利用すればよいでしょう。
仏壇と位牌の処分に対する心理的な抵抗感
ただ、人間の心の動きとして、「粗大ごみとして捨てること」「一般的な燃えるごみとして捨てること」はなかなか難しいのではないでしょうか。
仏壇自体には魂が入っていないと考える人や、そもそも自分は顔も知らない人の位牌であるという場合であっても、そのままごみにするのはなんとなく抵抗感を覚えることでしょう。
もちろん、「特にこだわりがなく気にしない」ということであればそのままごみにしてもよいのですが、そうではない場合は、遺された人間・処分する人間の気持ちを楽にするためにも、仏壇と位牌処分の前に「閉眼供養」をするとよいでしょう。
仏壇の閉眼供養とはなにか
閉眼供養とは、主に仏壇やお墓の処分の際に行われる法要をいいます。
ここに入っている魂を抜く際に実施するものであり、「魂抜き」などのようにいわれる場合もあります(宗派によって言い方は多少異なります)。
仏教においてよく見られるかたちであり、菩提寺に頼んで行われるのが基本です。また、閉眼供養は、遺影などを対象として行われることもあります。
この際には、お布施をお渡しすることになります。お布施というのは、あくまで「お気持ち」のものですから、明確に「料金」として請求されることはとても珍しいといえます。ただ、現実的には相場があり、その相場は3万円程度です。
他にも、仏壇のある自宅等に僧侶を招く場合は、お車代として1万円程度を別に渡すとより丁寧です。
【関連記事】お布施の金額相場の目安表|葬儀・法事・納骨・彼岸・お盆
仏壇と位牌の処分方法の実情
仏壇の処分方法に関しては、これ以外にも「業者に頼む」という方法もあります。
供養コミでサービスを提供しているところも多く、これを使えば「菩提寺がわからない」「自分で僧侶の手配をしなければならない」などの面倒さもありません。
特に、「古い仏壇があり、もういつの時代のものなのかもわからない」などのケースの場合は非常に頼りになるでしょう。
また、仏壇専門店などに引き取りをお願いするのもよいでしょう。「どこから買ったか」が断定できるのであれば、仏壇を買ったことのあるその業者に連絡するのがもっとも効率的です。
菩提寺などのお寺が仏壇の引き受けをしているケースもあります。菩提寺が分かる人の場合は、まずはここからアプローチしていくのもよいでしょう。
仏壇と位牌の処分に関しては、遺された家族の意向によって作業手順が大きく変わってきます。特に思い入れがないということであれば淡々と粗大ごみや可燃ごみに出しても構いません。しかし、閉眼供養をして、かつお寺などに納めたい……ということになれば、それなりの手順と費用が必要です。
また、仏壇と位牌を受け継いだ人が「ごみとして処分したい」と考えていても、周りの人から反対されることもあります。
仏壇と位牌の処分は、葬儀と同じようにとてもデリケートな問題です。必ず周囲の人と話しあって、ベストの処分方法を選んでいきたいものですね。
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