大切な家族の死については考えたくないものですが、もしもの時はいつか必ず訪れます。家族の臨終に直面した時、遺族は、まず何をしなければいけないのでしょうか?
今回は、臨終後すぐにしなければならない段取りや葬儀の手配、お金の準備、死亡後凍結されるという銀行口座の実際とその対策についてご紹介します。
目次
家族が死亡した後の葬儀の手配
今や日本人の8割以上が病院で最期を迎えるといわれていますが、病院で臨終を迎えた場合、遺族はどうすればよいのでしょうか?
また、自宅で亡くなった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか?
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病院で死亡した場合
病院で臨終を迎えた場合、遺体の処置や死亡診断書の受け取りを終えると、すぐに退院の準備をしなければなりません。
退院にあたっては、自宅、葬儀社や斎場の霊安室など、遺体の安置場所を決定し、寝台車を手配することとなります。
葬儀を依頼する業者を決めている場合は、その業者に寝台車の手配を依頼しますが、決まっていない場合は、病院にある葬儀社リストや、インターネットの葬儀社紹介サイトなどを参考にするとよいでしょう。
しかし、この段階でまだ葬儀社を決めかねる場合は、明確に「搬送のみ」と伝えて寝台車を手配し、搬送後改めて葬儀社に連絡しましょう。
自宅で死亡した場合
自宅で臨終を迎えた時、かかりつけ医がある場合には、その医師に来てもらい死亡診断書を作成してもらいます。
突然亡くなった場合や、かかりつけ医がいても死因が治療中の病気であると判断できなかった場合には、遺体に触れたり動かしたりせず、すみやかに警察に連絡しましょう。
警察による検死の後、死体検案書を作成してもらってから、葬儀を依頼する業者に連絡して来てもらいます。
ただし、死因が不明であったり、事件性が認められたりする場合は、行政解剖または司法解剖をうけることとなり、監察医や大学の法医学教室などに搬送されますので、処置終了後、葬儀社などに連絡し、遺体の搬送を依頼します。
家族が死亡した後の遺体の搬送、安置後の流れ
自宅や葬儀社、斎場などに故人を安置したら、ドライアイスなどの保冷処置、線香やローソクなどの枕飾りを準備してもらい、葬儀の打ち合わせとなります。
打ち合わせでは、葬儀の日時、場所、喪主、訃報を知らせる範囲、葬儀プランや祭壇など、葬儀に必要な事柄を決めていきます。
これらは、葬儀社スタッフが主導で行ってくれますが、特に、プランや祭壇のランクなど費用面については、予算と相談して冷静に判断するようにしましょう。
打ち合わせを終えると、親族や知人、仕事先などに葬儀の日時や場所について連絡し、遺影写真や喪服の用意、受付係の手配など、通夜・葬儀に向けた準備をします。
もしもの時(家族が死亡)にすぐ必要なお金
大切な人の死にあって、気が動転していても、悲しみにくれていても、必要になるのが「お金」です。特に、葬儀の場面では「現金」が必要になります。
さしあたって、何にどれくらいかかるのかを把握して準備しておくようにしましょう。
葬儀費用に関しては「葬儀の費用」相場はいくら?安くあげるコツ、高くなる要素も合わせてお読みください。
医療機関に支払う費用
入院費用と死亡診断書の費用がかかりますが、ほとんどの病院が、後日支払いでかまいません。ちなみに、死亡診断書は、病院によって異なり1,000~30,000円程度かかります。
ただし、警察による検死を受けた場合は、通常、死体検案書を受け取る際に、費用を支払わなければなりません。検案にかかる費用は、地域や状況、担当医師によって異なりますが、30,000~100,000円程度です。
クレジットカードを使用できない医療機関も多いので、現金を準備するのが無難でしょう。
火葬料金
火葬料金は、おおむね、火葬の当日までに現金で支払います。
全国的に見て、火葬場を運営しているのは市や町などの自治体です。
自治体により料金は異なりますが、市(町)民料金なら無料~20,000円程度、市(町)民外料金なら20,000~80,000円程度となっています。
東京都心部は、火葬場のほとんどが民営で、50,000~180,000円程度とランクによって料金が大幅に異なります。
また、火葬場に併設される葬儀場や霊安室などほかの施設を使用した場合は、その料金の支払いも必要です。
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宗教者へのお布施
僧侶など宗教者に葬儀を依頼する場合、お布施やお礼として現金が必要になります。
本来は、葬儀後お寺などに伺ってお渡しするものですが、最近では葬儀当日に渡すのが一般的になっています。
宗教者へのお布施に、決まった金額はありません。相場は、僧侶1名で20~30万円程度といわれていますが、宗教宗派、地域、僧侶の人数により異なります。
また、戒名によっては戒名のお礼が別途必要な場合もあります。
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葬儀社への支払い
葬儀費用は、葬儀当日から葬儀後1週間の間に支払うのが一般的です。
費用の相場は、規模やプラン、祭壇のランクによりますが、直葬10~30万円程度、家族葬30~60万円程度、一般葬50~150万円程度といわれています。
葬儀社によってはクレジットカードで支払いできるところもありますが、現金払いしか受け付けていない葬儀社も多いので注意しましょう。
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家族の死亡した後に現金の準備に困らないための方法
臨終を迎えてから葬儀まで、大変短い間に、まとまった現金が必要になります。
しかし、故人の銀行口座にしかまとまったお金がない場合、そのお金を引き出すことはできるのでしょうか?故人の銀行口座は凍結されてしまわないのでしょうか?
現金の準備に困らないためにどうしておけばよいのかご紹介します。
死亡した後、故人の銀行口座は凍結されるのか?
死亡届を出したら口座が凍結するから急いでATMに走らないと!といわれることがあります。
しかし、死亡届を役所に提出したからといって、役所から銀行に連絡が行くようなことはありません。
実際は、新聞に訃報記事が掲載されたり、家族が申し出たり、銀行がその人の死を知ることにならなければ、銀行口座が凍結されることはありません。
しかし、口座が凍結されないからといって、ATMで故人のお金を勝手に引き出して使うのは、トラブルのもとです。
故人の口座の預金は、遺産となりますので、相続についての諸手続きを踏んでから引き出さなければならないのです。
すぐに現金を用意するためには、家族の口座にある程度お金を移しておくのがよいでしょう。
※法改正によって、2019年7月から故人の凍結された銀行口座から葬儀費用など一定額を引き出せるようになりました。詳しくは法務省WEBサイト参照ください。
生命保険の活用
生命保険は、受取人が単独で請求することができ、必要書類到着から5営業日程度で保険金を受け取ることができるので、早く現金を得たい場合に大変有効です。
保険金は遺産ではなく、受取人の財産とされるので、遺産分割をまたずに、また、相続放棄をした場合でも、受け取ることができます。また、一定の金額まで非課税となるので、相続税対策としてもよいでしょう。
葬儀保険(少額短期保険)の活用
葬儀保険とは、少額短期保険の中でも、葬儀費用に特化した掛け捨て型の保険です。
ほとんどの葬儀保険は、医師の診断が不要で、高齢者でも持病があっても加入しやすいのが特徴です。
必要書類到着の後、早ければ翌営業日に保険金を得ることができるので、葬儀の支払いなどに活用できるでしょう。
事前準備のすすめ
大切な身内を亡くして、悲しみと疲労の中にありながら、葬儀の段取りをすすめ、お金の心配もしなくてはいけません。
このようなストレスを少しでも軽減するためには、事前の準備が大切です。まず、葬儀社に事前相談し、費用の見積もりを出してもらったり、葬儀の流れを教えてもらったりしておくと、もしもの時に慌てなくてすむでしょう。
また、お金の準備として、保険の加入や預貯金の分散などの対策をしておくと安心です。
葬儀は、その人の死を受け入れ、悲しみを癒すための儀式でもあります。もしもの時に備え、後悔のない葬儀を行うことも、悲しみの乗り越え方の一つかもしれません。
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