おひとりさまが終活をするうえで特に気をつけたいのが、お墓探しです。
自分亡き後、お墓を受け継いでくれる身内がいないため、継承不要なお墓を選ぶ必要があります。
屋外型永代供養墓や、納骨堂、樹木葬墓地といったお墓なら、納骨後は身内が管理する必要がありません。
おひとりさまの終活について、またとくに継承者がいらない永代供養墓にクローズアップして解説します。
目次
おひとりさまの終活で困る点は?
自分に何かあったときのために、医療や介護、葬儀、お墓、相続の希望についてまとめておくのが終活です。配偶者や子世代がいれば希望をまとめて伝えるだけで済みますが、おひとりさまでは、そうはいきません。
介護に関する希望はお世話になる介護施設に渡しておく、葬儀については葬儀社と事前契約し、連絡先を介護施設などに知らせておく、財産については士業に相談するなど、様々な専門家と連携をとることになります。
なかでもきちんと検討しておきたいのが、お墓のことです。一般的なお墓は継承者が必要で、年間管理費を支払うのも、お墓参りをして供養を行うのも、お墓掃除などの管理をするのも、全て継承者です。身内がいないとなれば、一般的なお墓に入ることはできません。
しかし、近年、人々のライフスタイルの変化に伴い、継承者を立てなくともよいお墓が増えてきました。おひとりさまをはじめ、「遠方に住む子どもに迷惑をかけたくない」「配偶者と一緒ではなく、自分一人のお墓が欲しい」といった理由で、継承不要なお墓を望む人は増えつつあります。
継承者がいなくても申し込み可能な永代供養墓3タイプ
継承不要なお墓で代表的なものは、永代供養墓です。永代供養とは、「永代に供養される」つまり、霊園などの経営が続く限りは管理者側が管理や供養を行ってくれるお墓を指します。具体的には、お墓が荒れないように管理者側が定期的に周りを清掃し、お盆やお彼岸に供養祭などを行うことで供養を継続します。
永代供養墓にも種類があります。主に、「屋外型永代供養墓」「納骨堂」「樹木葬墓地」の3タイプとなります。いずれも生前契約が可能で、基本的に宗教フリーであることも特徴の一つです。おひとりさまが永代供養墓を選ぶときのおすすめポイントや、注意点をご紹介します。
永代供養墓そのものについて、もう少し詳しく知りたいという方は、以下の記事もご参照ください。
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屋外型永代供養墓
屋外型永代供養墓とは、従来のお墓と同じように、屋外に墓石を置いて供養するタイプの永代供養墓です。大きな供養塔などの下に、はじめから他の人の遺骨と一緒に埋葬される「合祀型」と、個別にお墓が用意され、一定期間が過ぎたら合祀される「個別型」があります。
屋外型永代供養墓のおすすめポイント
おひとりさまがお墓を検討するにあたって、屋外型永代供養墓のおすすめポイントは、「個別型であれば従来のお墓と変わらない形を選べること」「合祀型は安価であること」「合祀後はたくさんの人から花を手向けられること」です。それぞれ説明します。
個別型であれば従来のお墓と変わらない形を選べる
個別型を選べば、納骨後、何十年かは従来のお墓と同じように個別のお墓で供養してもらえます。個別供養期間は33回忌までとしている霊園が多いですが、10年単位で契約できるところもあります。
個別供養期間中は、お墓の基本的な管理は霊園などの管理者が行ってくれますが、お墓参りをすることもできます。おひとりさまであっても、亡くなった後しばらくは友人などがお墓参りできる拠点を設けたいと思う人に最適です。
合祀型は安価
最初から他の人の遺骨と一緒に供養される合祀型であれば、200万円を超えることもある一般的なお墓よりもかなり割安です。価格帯は10万円から30万円程度で、一体5万円からという例も見受けられます。
関連記事:合葬(合祀)墓とは?
合祀後はたくさんの人から花を手向けられる
個別型であっても、多くの場合は契約期間が切れれば供養塔などへ合祀されます。他の人の遺骨と一緒に葬られるため、供養塔にはいろんな人がお墓参りに訪れます。毎日、お供えの花が絶えない供養塔も珍しくありません。
型永代供養墓を選ぶときの注意点
おひとりさまが屋外型永代供養墓を選ぶときは、次の2点に注意が必要です。
個別型は比較的、価格が高い
個別供養期間を設ける個別型の永代供養墓は、合祀型や、後に紹介する納骨堂、樹木葬墓地と比べて価格が高い傾向にあります。個別供養期間分の管理費が必要なためです。100万円を超えてしまうことも十分に考えられます。契約期間を選べる場合もあるので、希望の期間を伝え、見積もりをもらいましょう。
合祀後は個別に遺骨を取り出せない
合祀すると、骨壺から遺骨を取り出し他の人の遺骨と混じることになるため、後で個別に遺骨を取り出すことができません。おひとりさまであっても、親しくしている親戚などがいる場合は、合祀となってもかまわないか、きちんと話し合っておきましょう。
納骨堂
納骨堂とは、たくさんの遺骨を収蔵するための屋内施設です。ロッカーに骨壺や遺影などゆかりのものを収める「ロッカー式」、小型の仏壇の中に骨壺を埋蔵する「仏壇式」、小さな墓石が並ぶ「墓石式」などがあります。納骨堂にも、永代供養が可能なタイプがあります。一定期間は個別のスペースを設けてお墓参りができるようにし、期間が過ぎたら合祀されるタイプです。
納骨堂のおすすめポイント
おひとりさまが永代供養型の納骨堂を選ぶ際のおすすめポイントは、「屋外個別型より安価であること」「仲間が気軽に、快適にお墓参りに来られること」の2点です。
屋外個別型より安価
「屋外のお墓が一戸建てなら、納骨堂はマンションだ」と言われます。屋内にたくさんの骨壺を置く納骨堂は、個別スペースが小さいため、屋外に建てるお墓よりも安価です。地方であれば30万円台から、都市部であっても50万円台で見つかる場合があります。
仲間が気軽に、快適にお墓参りできる
おひとりさまであっても、お墓参りに来てくれる人がたくさんいるなら、納骨堂がおすすめです。駅から徒歩数分など、アクセスが良いことが多いためです。また屋内施設なので、雨の日も傘を差さずに、夏は熱中症の心配なくお墓参りできます。
納骨堂を選ぶときの注意点
おひとりさまが納骨堂を選ぶときは、次の2点に注意しましょう。
都心は割高になりやすい
都心からのアクセスが良いほど、割高になる場合があります。おひとりさまのなかでも、「都心にある自宅の近くに眠りたい」と考えている人は、注意が必要です。一方で、今都心に住んでいても「お墓はどこでもよい」と考えているなら、郊外に目を向けたほうが、安価な納骨堂が見つかるでしょう。
施設が老朽化した後、遺骨がどうなるか聞いておく
納骨堂は施設なので、新築であっても何十年か後にはメンテナンスが必要になります。その際、遺骨はどうなるのか、きちんと管理者に聞いておきましょう。万が一のとき、骨壺を預かってくれる人のいないおひとりさまには、とくに必要な情報です。
線香をあげたり花を手向けたりできないところがある
火気厳禁の施設にあっては、ろうそくや線香に火をともすことができず、電気式のものを使うことになります。また、花などのお供え物をそのままにしておくこともできません。お墓参りの方法に制限があることは、押さえておきましょう。
関連記事:納骨堂の意味は?
樹木葬墓地
樹木葬とは、墓石ではなく樹木を墓標とするお墓のことです。使用される樹木は桜が代表的ですが、一つひとつのお墓に好みの樹木を植えられるタイプもあります。緑あふれる霊園が特徴で、「自然に還れる」というイメージから、近年では樹木葬を希望する人が増えていると言われます。
樹木葬には3つの埋葬形態があります。一般的なお墓のように、一つのお墓に1人、または家族単位で埋葬される「個別型」、一つの大きな樹木を墓標とし、その周りを囲むように多くの遺骨を埋葬する「集合型」、複数の遺骨をまとめて埋葬する「合祀型」です。
また、樹木葬には3つの墓地環境タイプがあります。山林の中に墓地を作る「里山型」、一般的な墓地のように霊園として整備された「公園型」、バラなどの花壇がふんだんに配置されている「ガーデニング型」です。
以上のように、樹木葬にはさまざまな形態があるため、自分の希望に合ったものを選ぶのが重要になります。
樹木葬墓地のおすすめポイント
おひとりさまが樹木葬墓地を選ぶときのおすすめポイントは、「自然あふれる場所に眠れること」、「従来のお墓より安価なこと」の2つです。
自然あふれる場所に眠れる
樹木葬墓地は樹木がシンボルなので、霊園全体が緑豊かな環境に包まれています。季節の花々や木々の緑が、お墓参りをする人の心を癒します。自然あふれる場所で眠りたいと考えている人に最適です。
従来のお墓より安価
樹木葬墓地は、墓石を使わないぶん、どんなスタイルを選んでも従来のお墓よりは安価です。最も安価なのが他の人の遺骨と合祀されるスタイルで、10万円ほどからあります。個別型であっても、地域によっては50万円ほどで手に入るでしょう。
樹木葬墓地を選ぶときの注意点
おひとりさまが樹木葬墓地を選ぶときの注意点は、以下の3つです。
まれに継承者が必要なケースがある
樹木葬墓地は継承者を不要とするのが一般的ですが、寺院墓地内で基本的に檀家向けである場合など、継承者が必要なケースがあります。しっかり確認することが大事です。
生前は管理料が必要な場合がある
樹木葬墓地は管理する樹木や花が多い分、管理料がかかります。そのため生前は管理料を支払うケースもあります。利用規約をよく読みましょう。
都心では選ぶのが難しい
樹木葬墓地は緑豊かな場所にあるのが一般的なため、都心で探すのはやや難しいといえます。都心で見つけたとしても、景観がよくなかったり、一般的な霊園の一角に少しだけ樹木葬のスペースがあったりなど、イメージと違うことがあるかもしれません。お墓の場所にこだわらなければ、郊外にも目を向けてみましょう。
関連記事:樹木葬墓地とは?
まとめ
以上、おひとりさまに適した永代供養墓の3タイプについて解説しました。外見もシステムもまるで違う3タイプなので、どれが自分に合っているか、おすすめの点と注意点を引き比べて考えるのが大事です。
ひとくちにおひとりさまといっても、ゆったりと孤独を楽しむ人、仲間と賑やかに暮らしている人など、人とどんなつながりを持っているかはそれぞれです。お墓に求めるものも違ってきます。
気になる霊園や納骨堂があったら、実際に目で見て確かめることも大事です。インターネットである程度候補を絞り、見学予約をしてから霊園へ出向きましょう。