最近、テレビ等でお墓の多様化についての報道が増えていますが、皆さんはお墓について悩みはありませんか?
家庭環境の多様化で、一般的な先祖代々のお墓ではなく、納骨堂・樹木葬・散骨など様々な選択肢が広がっています。
増える選択肢の中で、近年納骨堂が特に注目されています。
仏様に安らかに眠れて、お参りする側も管理やお参りがしやすり納骨先は、お墓?それとも納骨堂?と悩んでいらっしゃる方も多いと思います。
今回は、先祖代々の墓と納骨堂(2カ所)の両方にお参りしている方の経験談から納骨堂の特徴とメリットやデメリットなどをご紹介します。
※著者の経験談をもとにした一例であって、主観的な記事内容となっていますことをご理解のうえでお読みください。
お墓と比較して納骨堂の良かった点・悪かった点
まずは実際に両方をお参りしてみて、納骨堂で良かった点と悪かった点を見てみましょう。
納骨堂の良かった点
●一般的なお墓を立てるよりも費用が抑えられる
母方の実家の納骨堂は約20年前に購入し、70万ほどでした。義実家で購入した納骨堂は最近購入し、100万程でした。ちなみに両方とも仏壇タイプのものです。
一般的なお墓と比べると納骨堂の方が安いようです。また、屋内にあるものですから、劣化の心配はほとんどありません。一度購入すれば、メンテナンスの必要が無いということです。
ちなみに父方の実家では、元々あった先祖代々の墓を10年程前に叔父が建て直しました。詳しくは聞けなかったそうですが、200万程はかかったようです。どうしても一般的なお墓の場合、後々墓石クリーニングや建て替えも視野に入れておかなくてはなりません。
●体力的にも金銭的にも負担が少なく、気軽にお参りできる
納骨堂は管理している寺院や会社が、清掃などを請け負ってくれます。ですから、お参りの際の清掃などの体力的負担や生花代などの金銭的にも負担が無く、少しの時間が出来た際、気軽にお参りできるのが大きな特徴です。
体力的な部分ですと、草むしりや墓石の掃除など、すべきことがたくさんあります。高齢になると負担になることは間違いありません。しかし納骨堂の場合は高齢の方も気軽にお参りできます。
また個人的には、生花代が掛からないのは大きなメリットだと思っています。意外とお墓参りの時の花代って費用がかかるものです。
特に夏場は花保ちが悪くなりますし、お盆時期は生花が値上がりするので、家計に響きます。父方の実家のお墓は花瓶も大きくて、最低でも3千円分くらいは購入しなくてはなりません。
ちょっと暇が出来たからお墓参りにいこうかな?と思っても、給料日前ですとご先祖様に申し訳ないですが、延期してしまうこともあります。
●墓守りの不安が解消された
主人は転勤がある職種で、今住んでいる所は仕事の都合で引っ越しました。そのため、お墓参りなどは年に2,3回といった具合です。
現状を考えると、正直、親が亡くなった場合の墓守り(お墓を管理する人)に不安がありました。一般的なお墓だと、枯れた花がそのまま生けられてしまうのが目に見えています。しかし納骨堂ならばそういった心配もありません。
実際、両親も子供たちの墓守りが負担にならないように、納骨堂を購入したと言っていました。
●バリアフリー対応の納骨堂が増えているので、安心してお参りできる
母方の実家の納骨堂はバリアフリー対応ではありませんが、新しい納骨堂の場合、多くがバリアフリー対応となっています。自分が年を取っても、安心してお参りできます。
●天候に左右されないのでお参りしやすい
最近は共稼ぎの家庭も多く、数少ないお休みの日にお墓参りを計画しているという方も多いでしょう。納骨堂は屋内ですから、雨が降っていても、予定通りお参りできます。
また空調設備がある所が多いので、暑い時期の赤ちゃんやお子さん連れの方も、安心してお参りすることができるかと思います。
●年忌法要の際に共同施設を借りることが出来る場合も
四十九日法要などの法要の後、食事会をする方も多いかと思います。そういった際、納骨堂に隣接する施設を無料で貸し出してくれる所もあります。
私のお参りしている納骨堂でもこういった施設があり、これまで何度も利用しています。飲食店を利用するより、費用を抑えられるので有り難いです。
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納骨堂の悪かった点
●購入後も諸費用がかかる
お墓自体の費用は納骨堂の方が安いようですが、管理費が意外とかかります。私のお参りしている納骨堂は年間1万円程です。働いている時は良いですが、年金のみの生活になった場合は少し大変かもしれません。
また檀家に入ることが条件となる所は、寄付などのお願いなどもあります。実際、義実家も度々少額ながら寄付をしているようです。
●納骨堂の種類によっては不便な点が多い
納骨堂といっても、仏壇タイプ・墓石タイプ・ロッカータイプ・自動搬送式(機械式)と様々な種類があります。一般的なお墓に慣れている方にとっては、お参りした気がしないと思われる方も多いようです。
実は母方の実家の仏壇式納骨堂を購入する前、ロッカー式納骨堂に納骨していました。しかし母は「なんだか狭そうだし、お供えものが置けないから・・・」と、お金を貯めて、数年後に仏壇式を購入しました。実際にお参りしてみたら、やはり仏壇式の方が良かったです。
●個人へのお線香や生花等のお供えが出来ない
防災の観点から、ご先祖様が眠っている納骨堂の前ではお線香が禁止されている所が多いです。しかし、母方の実家の納骨堂はお線香をあげることができていました。ですが先日行ってみると、来年から禁止になるという案内がありました。消防の方からの指示だそうです。生花も衛生上、勝手に置いて帰ることができません。
故人に昔ながらの供養をしたいと考えている方にとって、物足りなく感じてしまうかもしれませんね。
※合葬墓など一部の事です。
お墓と納骨堂のお参り方法の違い
お墓と大きな違いはありません。しかし、納骨堂は屋内の施設に遺骨を納め、供養する場所です。一般的なお墓は一軒家、納骨堂はマンションといった感じで、納骨堂の場合は利用者が気持ちよくお参り出来るよう、最低限の決まりを守る必要があります。
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●まずはご本尊へのご挨拶から行う
納骨堂にはご本尊が祀られていることが多いです。故人に会う前に感謝の気持ちを込めて、まずはご本尊に手を合わせましょう。
●宗派の違いがあるので、お経は出来るだけ控える
公営や民営の納骨堂の場合、宗派の決まりが無い場合が多いので、お経もそれぞれです。周りを気にせずに大声でお経を唱えるのは、迷惑になってしまいます。しかも室内ですから、どうしても周りの方に聞こえてしまいます。どうしても唱えたい場合、周りに迷惑をかけない音量にしましょう。
●お供えものはそのままにしない
故人に会いに来たのですから、生前好きだったものを持参したいですよね。実際多くの納骨堂では、お供え物を持参することができます。しかし、置きっぱなしは衛生上良くありません。生ものなら尚更です。帰る際には持ち帰り、仏壇にお供えしてから頂いてはどうでしょうか?
ですが、何も無いのも何だか寂しいという方もいらっしゃいますよね。そういう方は、生もの以外の市販の缶コーヒーやお茶などの飲み物類は許容範囲かもしれません。ただし、できるだけ早めに持ち帰りましょう。
納骨堂を購入を検討する際の注意点
ここまで納骨堂について詳しくご説明しましたが、納骨堂だったらどこでも大丈夫というわけではありません。
購入を検討する前に、ぜひ知っておいていただきたい事を挙げていきます。
【関連記事】納骨堂の意味は?費用と選び方に合祀墓と永代供養墓との違い
●納骨堂には使用する期限がある
納骨堂の多くは、永代使用料を払ってお墓を買いますが、実は永久的に使うことができる訳ではありません。お墓を一定期間借りることが出来る、ということです。
目安として、20年・30年・もしくは33回忌までの契約が多いようです。その後は各納骨堂により違いますが、再契約して継続するか、合祀墓に遺骨を納める形になることが多いようです。
一度合祀してしまうと、遺骨を返還することはできません。
「見知らぬ人たちと一緒にしてもらいたくない」という考えならば、納骨堂よりも一般的な先祖代々のお墓の方があおすすめです。
とても大事なポイントですから、見学に行った際など確認するようにしましょう。
【関連記事】合葬墓とは?公営と民営の費用相場から納骨堂との違いも解説
●納骨堂を管理する経営主体によって違う点が大きい
納骨堂の経営主体は、寺院・公営・民営の3パターンです。
公営や民営の場合、宗派の指定は無い所が多いです。しかし公営は費用が安いため人気があります。そのため、都市部の公営納骨堂は人気が集中していて募集があっても倍率が高く、使用権を得るのが難しい場合が多いです。
寺院の場合は、その寺院の檀家となる必要があるところが多いです。そのため、検討している納骨堂が寺院運営の場合は、ご自身の宗派と同じであるかを確認する必要があります。
民営の場合、一番の不安点は『いずれ倒産したらどうしよう』だと思います。もちろんそのリスクが無いわけではありません。基本的にはそのような事が無いように利用者保護の観点から墓地には永続性が求められていますが、経営に関して絶対はありません。慎重に選ぶ必要があるでしょう。
まとめ
ここまで、自身の経験をもとにご説明させていただきましたが、大切な家族である故人の納骨先を探す際に重要視するポイントは「安心して預けられる場所」ということだと思います。
昔は一族で一つのお墓を守ってきましたが、少子化が進む現代では、後継者がいない方でも利用可能な納骨先も増えてきています。家族構成の変化など、将来的に考えられる状況を想定して、最も適した納骨方法を選択する事が今後益々重要になっていくと感じます。
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