世の中にはたくさんの宗教があり、そしてその宗教の分だけ異なる葬儀のかたちが存在します。今回はそのなかから、創価学会の葬儀について取り上げます。
目次
創価学会の葬式(葬儀)の基本
創価学会の葬儀は、特に「友人葬」といわれます。
これは家族葬とよく混同されますが、現在は「友人葬」と言えば「創価学会の葬儀」を指すことが一般的になりつつあります。
創価学会は、日蓮系統の考えを元にしていた宗教です。
しかしさまざまな事情があり、現在では在来仏教とは異なる風習・異なるやり方で故人を送るようになりました。
宗教者を呼ばない
創価学会の葬儀の特徴は、宗教者を呼ばずに執り行われる葬儀であるという点でしょう。
創価学会の葬儀では、宗教者の代わりに導師が葬儀を進行していきます。
この「導師」は、地区の代表者であったり、故人と親しい友人であったりします。
なお、導師を「儀典長」と読むこともあります。
戒名をつけない
創価学会においては、戒名の存在理由を認めていません。
そのため、創価学会の葬儀では、ほかの仏教にあるような「位牌に彫り込むことになる戒名」というものが存在しません。
故人は故人の名前のままにお送りすることになります。
これも、在来仏教との大きな違いです。
在来仏教の場合、ご家族が「生前の名前で送りたいので、戒名はいらない」と申し出ない限り、戒名がつけられるのが普通です。
お布施や香典がいらない
宗教者を呼ばずに行う創価学会の葬儀は、宗教者に渡す『お布施』がありません。
戒名もつけないので戒名料(実際にはこのような名目での出費はありません。ただ、広く一般的に使われている単語・考え方です)も必要ありません。
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ちなみに、「お布施」だけでなく創価学会の葬儀の場合は、『香典』もいらないとされています。
創価学会においては、「儀礼的な意味での香典」を否定しています。
もっとも香典に関しては、あくまで参列者が故人や家族に対して心を示すものであるという考え方もあるため、「絶対に持って行ってはいけない」とされるものではありません。
実際、「すべての香典を断る」というところもあれば、「特にこだわりがないので受け取る」というご家庭もあります。
創価学会の葬式に参列する際の香典に関しては、ご遺族のご意向を踏まえるようにするとよいでしょう。
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創価学会と在来仏教の葬式(葬儀)内容の違い
ここからは、創価学会の葬儀の中身と、ほかの在来仏教の違いを紹介していきます。
題目が唱えられる
創価学会の葬儀の基本を支えているのが「題目三唱」です。
在来仏教の葬儀においては、基本的には参列者がお経を唱えることはありません。
唱えるとしても心の中、あるいは小声で……というところが多いでしょう。
しかし、創価学会の葬儀の場合は、会場の人間全員が、題目を唱えます。
また、多くの場合、題目は焼香の後と閉式の挨拶の直前に、2回に分けて行われます。
焼香の仕方は在来仏教の葬儀と変わらない
仏教の葬儀において見られる「焼香」ですが、創価学会の葬儀の焼香は、一般的な在来仏教と変わりありません。
創価学会でも同じように行います。
なお、焼香のやり方についてですが、これは「前の人をまねる」やり方をすればよいでしょう。
焼香は、導師と次に家族、そしてその次に親族、最後に一般弔問客……というかたちで進んでいくので、前の人を真似すれば問題ありません。
関連記事:焼香の回数とやり方は?喪主と参列者で仕方に違いはあるの?
【創価学会の焼香の仕方紹介動画】
数珠には一応決まりはあるけれど手持ちの物で良い
創価学会で使うお数珠は、「2重になっており、そこから浄明玉が伸びていて、さらに幾本もの房がつけられている」というかたちが主流です。
自分も創価学会の信者であるのなら、これを持っていきましょう。
ただ、実際のところ、「この葬儀のためにわざわざ創価学会用の数珠を買い求める」ということは必要ありません。
創価学会の式に限ったことではありませんが、数珠は手持ちのものをもっていけばよく、相手の宗派に合わせなければならないという決まりはありません。
すでにある数珠で十分です。
創価学会のお花は樒(シキミ)
創価学会の葬儀では、ご本尊にお供えるのはシキミ(樒)と決まっています。
また、シキミで祭壇を作るやり方も一般的です。
ただ、「お花を入れてはいけない」というものでもありません。
創価学会は白いお花と相性がよい宗教です。
そのため、白い花で仏壇を作ったり、祭壇の中に白い花を活けたりすることもあります。
また現在は、ご遺族や故人に合った葬儀をするとする考え方が主流です。
「故人がひまわりを愛していたので、ひまわりを使った祭壇にしたい」などの希望がある場合は、それも伝えた方がよいでしょう。
なお、棺の中にお花を入れてお見送りすることも可能です。
創価学会の葬式(葬儀)まとめ
創価学会の葬儀は、題目三唱などがあるため慣れていないとびっくりするかもしれません。
しかし葬儀のその流れや必要となる手順に関しては、創価学会も、ほかの在来仏教とあまり変わりがありません。
また、創価学会の葬儀に限ったことではありませんが、一番大切なのは「故人を見送り、ご家族を労わる気持ち」です。
それをきちんと伝えられるのであれば、多少マナーから逸脱することがあっても、咎めたてられることはないでしょう。
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