新型コロナウイルス感染症の流行が懸念されるなか、人々の行動が大きく変わろうとしています。
コロナ以前にはホウボウに出かけ、終活についての情報収集をしていた人も、なかなかそうはいかなくなるでしょう。
では、コロナ以後、終活はどのように行ったらよいのでしょうか。とくにお墓探しや墓じまい、納骨で変わることについてまとめました。
お墓探しはインターネットと電話をフル活用
お墓探しの基本は、実際に候補地を見学することです。しかし、感染症予防の観点からいえば、頻繁に公共機関を用いて移動するのは避けたいところ。自宅で調べられることは調べ、ある程度候補地を絞ってから見学するのが理想的といえます。
そこで頼りになるのがインターネットの存在です。とくにお墓の情報サイトへ掲載されている霊園なら、立地はもちろん、アクセス情報や墓地の経営主体、お墓参りが可能な時間帯、そして気になる費用のことまで詳細にアップされているため、希望の条件を探しやすいでしょう。気になる霊園をチェックして、資料請求も簡単にできます。
ただ、インターネットでの調査や資料請求だけでは調べづらいことがあります。それは、霊園管理者の対応についてです。どんなに希望に叶うお墓であっても、管理者の対応がそっけなかったら、どんな気持ちになるでしょうか。
お墓探しをしている時点では、霊園の対応がどんなものであっても、そんなに気にならないかもしれません。しかし、愛する人を亡くした後、納骨に向かった霊園で冷たい対応をされると、とても悲しい気持ちになるものです。一方で、「お寂しいですね」「大事な方のお骨を、お預かりいたします」と温かい声をかけられれば、沈んだ心も慰められます。
霊園側の対応を見るには、もちろん実際に出向いてみるのが一番ですが、電話をするだけでもある程度は見極めることができます。資料を取り寄せたうえで、気になる霊園があったなら、届いた資料に記載されている問い合わせ先に電話してみるのがおすすめです。
その際、インターネットや資料では分からないことを聞けると一石二鳥です。資料を読み、疑問に思ったことのほかに、次の3項目についても尋ねてみましょう。
- 今、空きがある区画はどこか
(入口や水場から近い、日当たりが良いなど人気の区画は埋まっている可能性がある - お墓の費用はトータルでいくらになるか
(資料だけでは分かりづらいため、電話でも確認できるとよい) - 実際に見学に行くときの予約方法
(予約方法を確かめておけば、実際に見学に行きたいと思ったときもスムーズ)
関連記事:新しい生活様式下でのお墓の探し方のポイントと購入までの手順
「お墓を探して散歩」もアリ
感染症予防のためとはいえ、ずっと自宅にいると足腰が弱ってしまうと心配する人もいることでしょう。体力づくりのため自宅近くを散歩するときは、お寺やお墓、霊園に注目してみてはいかがでしょうか。意識して歩けば、意外なところにお墓や霊園が見つかるものです。
「自宅の近くの霊園に、空きがあるとは思えない」「市街地の霊園は価格が高いのでは」と敬遠するかもしれません。しかし、実際に管理者から話を聞いてみなければ、空き状況や価格は分かりません。自宅の近くで理想のお墓が手に入るなら、願ってもない話です。
インターネットや広告には、たくさんの情報がありますが、それでも掲載できる情報は限られています。情報をあまり発信しないお墓を見つけられるのは、地元の人だけです。「お墓探し散歩」を、ぜひ楽しんでみてください。
ただ、ここで注意しておきたい点があります。それは、近所にめぼしい霊園が見つかったとしても、飛び込みで見学に行かないことです。資料を取り寄せたうえで、資料に記載されている問い合わせ先に見学のアポイントを行いましょう。飛び込みで見学を行ってしまうと、資料を請求したときには受け取ることができる特典を受けられなくなる可能性があります。
改葬や墓じまいは役所に足を運ぶ回数を最小限に
古いお墓から新しいお墓にお骨を移す改葬や、古いお墓を更地にする墓じまいを考えているなら、たくさんの手続きが必要になります。とくに改葬は、自治体による改葬許可が必要です。そのためには、「現在のお墓の管理者」「市区町村役場」「新しい墓地の管理者」の3者から証明書や申請書を取り寄せなければなりません。ややこしく感じる人も多いでしょう。
外出を控えたいと感じているなら、電話や郵送でのやり取りを駆使して、役所その他に足を運ぶ回数を最小限にしましょう。平常時であれば対面で行うような手続きも、インターネットで資料を取り寄せたうえで郵送するなどすれば、可能なものがあります。
詳しい改葬手続きについては、下記リンクをご覧ください。
田舎にある実家のお墓の墓じまいの費用と手続きは?遺骨の改葬方法
改葬許可証は、申請してから許可証の交付まで時間がかかることがあります。この場合も、来訪が難しければ郵送を依頼するなど、手続きをしておきましょう。
ただし、新しいお墓の契約によっては、「契約後○年以内にお墓を建てること」などといった取り決めがなされている場合があります。そういった例では、納骨はずっと後になるとしても、お墓の施工は進めたほうがよいでしょう。契約書を確認し、また管理者ともよく話し合いましょう。
納骨はコロナが落ち着く三回忌以降がおすすめ
お墓へ遺骨を埋蔵する納骨は、四九日法要と同時に行うのが一般的です。しかし、新型コロナウイルス感染症に警戒が必要な現在、人が集まる法要はなるべく避けたいと思っている人もいることでしょう。
納骨は、どうしても四九日法要をめどにしなければならないというわけではありません。納骨は、治療薬やワクチンが開発され、安心して外出できるようになってからでもよいのではないでしょうか。三回忌以降、あるいは回忌を気にせず命日などをめどに、納骨式を行うのがおすすめです。
お墓が決まらない人のなかには、何年も遺骨を自宅で供養している人がいます。また、最近では「手元供養」といって、あえてお墓を作らず、仏壇などの中に骨壺をおさめたり、綺麗な骨壺を飾ったりして自宅でお参りする家庭も見られます。家で遺骨を祀ることは、何ら特別なことではありません。
皆で安心して納骨ができる、そのときを待ってからの納骨でも、遅くはありません。満足な葬儀ができなかったと感じているなら、納骨式と時を同じくして、お別れ会を開くのもいいでしょう。
納骨式とお別れ会を同時に行うメリット
時機を待ってから納骨式とお別れ会を同時に行うことには、以下のようなメリットがあります。
みんなが集まる機会を減らせる
コロナが落ち着いてからも、「念のため、外出はなるべく控えたい」と考える人も多いと思われます。納骨式、お別れ会と、集まる機会が多くなってしまうと、そのような人には負担になります。その点、納骨式とお別れ会を一挙に行うことができれば、外出を控えたい人にとっても負担が軽くなります。
遺骨をまつりながらお別れ会ができる
納骨後にお別れ会を行う場合は、位牌や遺影だけを祭壇に飾ることになります。その点、納骨式をお別れ会の後に行うようにすれば、遺骨をまつりながらお別れ会ができます。参列者は、故人をより身近に感じながら別れの言葉を述べられます。
親族らに「お墓の紹介」ができる
通常、納骨式だけを単独で行う場合は、遺族と近しい親族だけが参列するのが一般的です。しかし、みんなが集まるお別れ会の後なら、自然と納骨式まで参列する親族も多くなります。とくに新しくお墓をつくったときには、親族らに「お墓の紹介」をすることができて便利です。「今後、お墓参りをするときにはここに来ればいいんだね」「新しいお墓ができてよかったね」と、声をかけてくれる親族も多いでしょう。
コロナ以後の終活は柔軟な対応が吉
「お墓は現地に出向いて見学しなければならない」「手続きは必ず役所に行かなければならない」「納骨は四九日法要に合わせて」といった常識を捨てましょう。電話や郵送で済ませられるものは済ませるなど、柔軟に対応するのがコロナ以後の終活といえます。
感染症が猛威を振るう中でも、自分の希望のお墓を見つけ、希望通りの終活ができるよう工夫しましょう。行動が制限されるなかで、いかに情報を効率良く得られるかがカギになります。
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