「会社墓」とは何か~会社墓を建てる意味とそのメリット

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会社墓と建てる意味とメリットを解説

葬儀や埋葬の形態が多様化していくなかで、「より自分らしい葬儀を」「個人としての自分の気持ちが反映された埋葬方法を」と考える人も増えてきました。

ただ、公的な面を持つ葬儀や埋葬のかたちもまた、これらと共存しています。葬儀の面から取り上げれば「社葬」がそれにあたりますし、埋葬の面から取り上げれば「会社墓」がそれにあたります。

 

ここではこの「会社墓」を取り上げ、その意味や建てるメリットについて解説していきます。

 

 

会社墓の2つの種類~創業者のためのもの、社員のためのもの

会社墓の二つの種類を解説

「会社墓」とは、会社が主体となって建てるお墓のことをいいます。

 

「企業墓」「社墓」「法人碑」などのような名前で呼ばれることもあります(ここでは「会社墓」の表記で統一します)。

 

会社墓の歴史は古く、戦前の1938年にはすでに始まっていました。当時の松下電器産業(現在のパナソニック)が、真言宗の総本山がある高野山にその会社墓を建てたのが始まりです。そののちほかの企業も松下電器産業に倣うかたちで、会社墓を建設してきました。たとえばUCC上島珈琲や日産自動車、ヤクルトなども会社墓を持っています。ちなみに、銀行でもこの会社墓を作っているところがあります。

 

この会社墓には2つの種類があります。

 

会社墓は創業者のためのもの

1つは、会社の創業や発展において特別な功績を残した創業者や重役を祀ることを目的としたものです。

 

会社墓は社員のためのもの

そしてもう1つは、その会社に勤めていた人(社員)を祀ることを目的として建てられるものです。

 

後者は、従業員の家族にかかる費用を軽減するためのものとしての性質を持っていました。また前者は、単純に「ご遺骨を埋葬するためのもの」というよりは、象徴的な意味合いを強く持つものだといえます。たとえば、創業者(や功績を残した重役)を敬い慕う社員たちが心のよりどころにするために建てたり、創業者が創業時の意志や旅立っていくときに残す遺志を表すために建てたりするわけです。

 

会社墓はその性質上、一般的な個人のお墓とは異なります。社員を祀ることを目的とした会社墓はある意味では合葬墓とみることもできますが、その墓地の運営団体(寺院など)が展開しているものとはまた意味合いが異なります。そのため、会社墓を建てたいと考えた場合は、事前にその墓地の運営団体に会社墓建設の可否を確認しなければなりません。場合によっては「うちの墓地では会社墓の建立には対応できない」と断られることもあるからです。

 

 

会社墓を建てることの3つのメリット

会社墓のメリットとは?

このように、一般的なお墓とはその意味が異なる「会社墓」ですが、これを建てることには3つのメリットがあります。

 

1.会社名の宣伝が行える
2.会社としての意志を受け継ぐ媒体となる
3.経費での処理が可能

ひとつずつ解説していきます。

 

会社名の宣伝が行える

会社墓は、企業の名前を掲げているお墓です。そのため、その墓地を訪れる人の目にその会社名が映ることになります。またお墓の形自体も、その会社の業務内容を表すものであることが多く(たとえば「ヤクルト」は、自社製品である飲料の「ヤクルト」の形のお墓を持っています)、通りかかる人の目を引き付けます。
もちろんCMなどのような効果までを期待することは難しいと思われますが、それでも、「そこを通る人の目に移り、印象を残すことができる」というのは会社墓を建てる大きなメリットです。

 

 

会社としての意志を受け継ぐ媒体となる

会社墓は、
・社員側から創業者(や重役)への敬愛の念を示すためのもの
・企業側から社員側への庇護を示したり、団結を促したりするためのもの
・創業者(や重役)側が、社員に対して自らの意志を表すためのもの
という性質を持っています。
つまり、「お墓」という媒体を通し、社員と企業、創業者(や重役)と社員が、それぞれの思いを示すことができるわけです。

 

終身雇用制度が崩壊したと言われて久しく、少なくない人が人生で一度は転職を経験する現在では、このような「意志を通わせ、団結するためのお墓」という概念はなかなか理解しにくいものかもしれません。しかし会社墓に込められた思いは決して色あせることはありませんし、それがなにがしかのものを残された人に伝えてくれるのは事実です。

 

 

経費での処理が可能になることもある

あまり取り上げられることはありませんが、会社墓は実は経費というかたちで処理することができます。これは、「○○家代々之墓」や「個人墓」には見られないメリットです。
また、会社の代表者が代々継承していくことが可能な墓でもあります。
どのように運用するかはその会社ごとによって異なりますが、これもまた会社墓の持つメリットだといえるでしょう。

 

会社墓は、それ以外のお墓とは異なる意味を持つものであり、異なる継承方法を持つものです。

 

「自分(たち)の思いを伝えたい」と考える人は、この会社墓の建立を考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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