お墓へ納骨することになったものの、「石材店には何を頼むのか」「費用はいくらか」「いつ連絡すればよいのか」と迷う方は少なくありません。
一般的なお墓では、遺骨を納めるために納骨室(カロート)のふたや拝石を動かし、納骨後に元へ戻す作業が必要です。石は見た目以上に重く、墓石の構造によっては目地の補修や複数人での作業も必要になるため、石材店へ依頼するケースが多くなっています。
石材店が公開している料金には、納骨作業費として2万2,000円から、3万3,000円からという例があります。ただし、これは全国共通の定価ではありません。墓石の構造、墓地までの距離、作業人数、目地補修の有無、指定石材店制度などによって、実際の費用は変わります。
この記事では、石材店で10年、墓石工事や納骨に携わった経験をもとに、納骨で石材店へ依頼する作業、費用の見方、連絡時期、当日の流れ、依頼先の確認方法を解説します。
この記事の要点
- 石材店には、主に納骨室の開閉、遺骨を納める補助、石材の復旧を依頼する
- 公開料金には2万円台・3万円台からの例があるが、墓地や墓石の条件で変わる
- 納骨日が決まったら、墓地管理者へ手続きを確認してから早めに石材店へ連絡する
- 焼骨の納骨では、一般に火葬済みの記載を受けた火葬許可証を墓地管理者へ提出する
- 民営霊園や寺院墓地では、指定石材店以外に依頼できない場合がある
納骨では石材店に何を依頼するのか

写真は納骨作業のイメージです。墓石の構造はお墓ごとに異なります。
納骨の際に石材店が行うのは、単に骨壺をお墓へ入れる作業だけではありません。お墓の構造と墓地の規則を確認し、安全に納骨室を開け、納骨後に石材を元の状態へ戻すところまでが主な仕事です。
納骨室(カロート)のふたや拝石を開ける
遺骨を納める空間は、納骨室、カロート、石室などと呼ばれます。入口の位置は地域や墓石の形によって異なり、正面の香炉や水鉢を動かす形式、足元の拝石を持ち上げる形式、墓石の一部を外す形式などがあります。
小さなふたで開けやすく見えても、石同士が接着されていたり、目地材で固定されていたりすることがあります。構造を確認せずに力を加えると、角が欠ける、石を倒す、指を挟むといった事故につながるため注意が必要です。
遺骨を納める作業を補助する
納骨室内の状態を確認し、骨壺や遺骨を納めます。地域によっては骨壺のまま納めるほか、骨袋に移す、土へ還すなどの方法があります。どの方法がよいかは、墓地の規則、納骨室の広さ、地域慣習、寺院の考え方によって異なります。
すでに複数の骨壺が納められている場合は、空きスペースを確認する必要があります。満杯に近いときは、勝手に遺骨を移動せず、墓地管理者や寺院、石材店へ相談してください。
石材を戻し、必要に応じて目地を補修する
納骨後は、動かした石材を正しい位置へ戻します。墓石の構造によっては、雨水の浸入や石のずれを防ぐため、目地材や接着材を施工し直します。
納骨室は完全な防水空間とは限りませんが、誤った材料の使い方や不十分な復旧は、次回の開閉を難しくしたり、石材の欠けや水の浸入につながったりします。どこを固定し、どこを開閉できる状態にしておくかは、構造を見て判断する必要があります。
追加彫刻や簡易清掃は別料金になることがある
納骨に合わせて、墓誌や墓石へ戒名・法名・俗名などを追加彫刻する方もいます。ただし、納骨作業と追加彫刻は別の工事です。見積書に彫刻費、色入れ、出張費などが含まれているか確認しましょう。
追加彫刻の費用や依頼時期は、墓誌の追加彫刻はいくら?戒名を彫る費用・納期・依頼方法で詳しく解説しています。
納骨を石材店に依頼する費用はいくら?

写真は見積もり確認のイメージです。実際の料金と書式は石材店によって異なります。
石材店へ依頼する納骨作業には、全国共通の定価がありません。公開料金では、篠田石材工業が納骨作業費用を2万2,000円(税込)から、空もようが納骨のカロート開閉作業を3万3,000円からと案内しています(参考:篠田石材工業、空もよう)。
これらは各社の条件に基づく公開料金であり、「全国の相場が必ずこの金額」という意味ではありません。依頼する地域と墓所の状況を伝え、正式な見積もりを取ることが大切です。
| 費用項目 | 主な内容 | 見積もりで確認すること |
|---|---|---|
| 納骨作業費 | 納骨室の開閉、納骨の補助、石材の復旧 | 何名分まで含むか |
| 出張費 | 石材店から墓地までの移動 | 基本料金に含まれるか |
| 目地補修費 | 開閉部分の清掃、目地材の施工 | 材料費を含むか |
| 追加作業費 | 複数人作業、石材の一時撤去、機材使用 | 追加になる条件 |
| 追加彫刻費 | 戒名・法名・俗名などの彫刻 | 文字色、原稿、出張費を含むか |
| 清掃・修理費 | 簡易清掃、ひびや目地の補修 | 作業範囲と完成状態 |
費用が高くなりやすい条件
- 納骨室を開けるために大きな石材を動かす
- 一人で持てず、複数人での作業が必要になる
- 階段、坂道、狭い通路があり、機材を運びにくい
- 墓地までの距離が遠い
- 古い目地材や接着材を除去する必要がある
- 石材の欠け、傾き、ひびなどが見つかる
- 追加彫刻や墓石清掃も同時に依頼する
- 指定石材店の料金体系が決まっている
電話だけで一律料金を尋ねるより、お墓全体、納骨室の入口、墓地までの通路を写真で伝えると、追加費用の可能性を確認しやすくなります。見積書では「納骨一式」の総額だけでなく、どこまでが含まれるかを確認してください。
納骨作業を依頼できる石材店が分からない方へ
お墓の場所、納骨予定日、墓石の状況を確認し、対応可能な石材店探しを無料でお手伝いします。指定石材店がある墓地では、ご紹介した石材店が工事できない場合があります。
石材店にはいつ連絡すればよい?

納骨日が決まったら、墓地管理者への確認後、早めに石材店へ相談します。
石材店へ連絡する時期に全国共通の決まりはありません。基本は、納骨候補日が決まったら、まず墓地管理者や寺院へ手続きを確認し、その後できるだけ早く石材店へ相談することです。
納骨作業だけなら比較的短期間で対応できる場合もありますが、土日祝日、お盆、春秋彼岸、年末年始前は予定が埋まりやすくなります。墓地への工事申請や担当者の立ち会いが必要な場合もあるため、直前の依頼は避けた方が安心です。
四十九日法要と同日に納骨する場合
四十九日法要と納骨を同日に行う場合は、寺院、会食会場、墓地、石材店の予定を合わせる必要があります。家族だけで日程を確定する前に、関係者へ候補日を伝えましょう。
四十九日までの日数が短いときは、追加彫刻が納骨日までに間に合わないこともあります。彫刻が完成していなくても納骨できる場合はありますが、墓地や寺院の考え方を確認してください。
追加彫刻も依頼するなら早めに相談する
追加彫刻には、既存文字の確認、彫刻原稿の作成、家族による校正、現地または工場での施工が必要です。公開案内では、通常工事で完成まで2〜3週間、彫刻を伴う場合は納骨日の4週間前までの連絡を勧める石材店もあります。
ただし、これは余裕を持つための目安です。石材店や墓地によって必要期間は違うため、納骨日が決まった時点で確認しましょう。
石材店へ連絡するときに伝えること
問い合わせ時にすべての情報が揃っていなくても相談できます。ただし、次の項目を整理しておくと、対応の可否や見積もりを確認しやすくなります。
| 伝える情報 | 確認方法・注意点 |
|---|---|
| 墓地名・所在地 | 同じ名称の墓地があるため市区町村まで伝える |
| 区画番号 | 墓地使用許可証や管理事務所の資料で確認する |
| 納骨予定日時 | 確定日か候補日かも伝える |
| 納骨する人数 | 骨壺の数と、改葬遺骨かどうかも伝える |
| お墓の写真 | 全体、正面、納骨口、墓地までの通路を撮影する |
| 法要の有無 | 僧侶の読経開始時刻と納骨の順番を伝える |
| 追加彫刻の有無 | 戒名・法名が確定しているかも伝える |
| 以前の施工店 | 契約書、保証書、墓地管理者などで確認する |
石材店への電話例
「○○霊園の○区○番にある家のお墓へ、○月○日に1名分を納骨する予定です。納骨室の開閉と納骨作業をお願いできますか。追加彫刻も検討しています。必要な写真や書類、費用、墓地への申請について教えてください」
納骨日が未確定なら、「○月の土曜日を候補にしています」と伝えて空き状況を確認します。口頭で聞いた金額は、作業範囲とともにメールや見積書でも確認しましょう。
納骨室を自分で開けてもよい?

重い石材や接着された部分は、無理に動かさず専門家へ確認してください。
家族が納骨室を開けること自体を一律に禁止する法律があるわけではありません。構造が簡単で、墓地の規則上も問題がなく、家族で納骨する地域もあります。
一方で、石材が重い、接着されている、開け方が分からない場合は、自分で行わない方が安全です。特に次のケースでは、墓地管理者と石材店へ相談してください。
- 香炉、水鉢、拝石など重い石を動かす必要がある
- どの部分が納骨口か分からない
- 石材が接着されている、または目地材が硬化している
- 墓石に傾き、ひび、欠けがある
- 納骨室に水や土砂がたまっている
- 骨壺が多く、新しい遺骨を納める空間がない
- 指定石材店や工事届に関する規則がある
自分で開ける場合も、先に墓地管理者へ納骨手続きと作業ルールを確認します。石材の持ち上げ方や目地補修を、インターネット上の一般的な説明だけで判断するのは危険です。同じ形に見えるお墓でも、固定方法や石の重さは異なります。
納骨当日の流れと石材店の役割

順番や手続きは墓地・寺院・宗派によって異なります。
当日の順番は、墓地や寺院、宗派、家族の希望によって変わります。次は、墓地に建つ一般的なお墓へ納骨する場合の一例です。
- 墓地管理者へ必要書類を提出する
使用者確認や納骨届など、墓地所定の手続きを行います。 - 僧侶による読経や納骨法要を行う
宗派や家族の意向により、法要を行わず納骨する場合もあります。 - 石材店が納骨室を開ける
必要な石材を安全に移動し、内部の状態を確認します。 - 遺骨を納める
家族が骨壺を手渡す場合と、石材店が補助して納める場合があります。 - 石材を元へ戻す
位置を確認し、必要に応じて目地を補修します。 - 完成状態と費用を確認する
石材のずれ、周辺の清掃、追加作業の有無を確認します。
火葬許可証・改葬許可証は墓地管理者へ提出する
火葬した遺骨をお墓へ納める場合、一般に火葬済みの記載を受けた火葬許可証を墓地管理者へ提出します。別のお墓や納骨堂から移した遺骨では、改葬許可証が必要です。
墓地、埋葬等に関する法律では、墓地管理者は火葬許可証や改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を埋蔵させてはならないとされています(参考:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」)。
書類の名称や追加書類は、自治体や墓地によって異なることがあります。石材店は墓石の作業を担当しますが、納骨の許可を出す立場ではありません。紛失や当日の持参忘れを防ぐため、必要書類と提出先は墓地管理者へ直接確認してください。
納骨時期や家族側の準備全体については、納骨はいつまでにする?時期と準備の総合案内も参考にしてください。
指定石材店がある墓地ではどうする?
民営霊園や寺院墓地では、墓石工事や納骨室の開閉を行える石材店が指定されている場合があります。以前お墓を建てた石材店や、墓地管理者が案内する石材店へ依頼する仕組みです。
指定外の石材店へ先に依頼すると、墓地へ入場できない、工事届を受理してもらえないといった可能性があります。石材店を探す前に、墓地管理者へ次の点を確認しましょう。
- 納骨作業を行える石材店が指定されているか
- 以前の施工店へ依頼する決まりがあるか
- 外部の石材店でも申請すれば作業できるか
- 墓地管理者への納骨届・工事届は誰が提出するか
- 納骨作業費や立ち会い費が規定されているか
指定石材店がない墓地でも、誰でも自由に無届けで工事できるとは限りません。公営墓地を含め、作業時間、車両の進入、使用材料などに規則があるため、管理事務所への確認が必要です。
依頼する石材店が分からないときの探し方
墓地管理者へ以前の施工店を確認する
お墓を建てた石材店が分からない場合は、まず墓地管理者へ相談します。管理記録や工事届から、以前の施工店が分かることがあります。指定石材店がある場合も、この段階で案内を受けられます。
契約書・保証書・墓石の表示を確認する
墓石建立時の契約書、領収書、保証書、図面を探します。石材店によっては、墓石の裏側や外柵の目立たない場所に施工店名を記した札がある場合もあります。
外部業者を選べるなら複数社へ相談する
石材店を自由に選べる墓地では、お墓の写真と墓地情報を送り、対応範囲と見積もりを比較します。安さだけでなく、墓地規則の確認、当日の立ち会い、目地補修、追加彫刻、損害時の対応まで説明してくれるかを見ましょう。
石材店を比較するときの確認項目は、信頼できる石材店の選び方で詳しく紹介しています。
石材店へ依頼せずに納骨できるケース
納骨室の入口が軽いふたで、墓地管理者が家族による開閉を認めており、目地補修も不要な場合は、石材店へ依頼せず納骨できることがあります。地域の慣習として、親族や地域の方が作業を手伝うケースもあります。
ただし、「以前も家族で開けた」「見た目が簡単」という理由だけで判断するのは避けましょう。石材店へ依頼しない場合でも、次の条件をすべて確認してください。
- 墓地管理者へ納骨の届出を済ませている
- 家族による納骨室の開閉が墓地規則上認められている
- 石材を安全に動かせる人数と道具がある
- 接着や目地補修が不要、または正しい方法を確認できている
- 遺骨を納める空間がある
- 破損やけがが起きた場合の責任を理解している
少しでも構造や重さに不安がある場合は、無理に作業せず専門家へ相談してください。
納骨と石材店に関するよくある質問
僧侶を呼ばずに納骨できますか?
法律上、僧侶の読経がなければ納骨できないと一律に決められているわけではありません。ただし、寺院墓地の規則や菩提寺との関係、家族の宗教的な考え方があります。法要を行わない場合も、墓地管理者や寺院へ事前に確認してください。
雨の日でも納骨できますか?
小雨で作業できる場合もありますが、強い雨や風、積雪、雷などで安全を確保できないときは延期になることがあります。墓地までの通路や石材が濡れると滑りやすいため、延期条件と連絡方法を事前に石材店へ確認しましょう。
遺骨が複数ある場合も料金は同じですか?
納骨室を一度開閉する料金に一定数まで含まれる場合と、人数ごとに追加料金がかかる場合があります。改葬遺骨を複数納める場合は、骨壺の数、納骨室の空き、必要書類も含めて見積もりを取りましょう。
納骨と追加彫刻は同じ日にできますか?
石材店の工程と墓地の規則によっては可能ですが、彫刻は納骨日より前に完成させることが一般的です。原稿確認や天候で遅れる可能性があるため、同日施工を前提にせず早めに依頼してください。
お布施や石材店への心付けは必要ですか?
僧侶へのお布施と石材店への作業料金は別です。石材店には契約した作業料金を支払い、別途の心付けは必須ではありません。寺院へのお布施については、菩提寺へ確認するか、お布施の金額・包み方・渡し方を参考にしてください。
遠方のお墓でも依頼できますか?
写真、電話、メールなどで事前確認し、依頼者が現地へ行かずに対応できる石材店もあります。ただし、墓地使用者の確認、管理者への申請、当日の立ち会いが必要な場合があります。遠方だからこそ、完成写真、請求方法、鍵や書類の受け渡しを事前に決めておきましょう。
まとめ|墓地管理者への確認後、早めに石材店へ相談しよう
納骨で石材店へ依頼する主な作業は、納骨室(カロート)の開閉、遺骨を納める補助、石材の復旧です。公開料金には2万2,000円から、3万3,000円からという例がありますが、墓石の構造、立地、出張距離、目地補修などで費用は変わります。
納骨日が決まったら、最初に墓地管理者へ必要書類と指定石材店の有無を確認します。その後、墓地名、区画番号、納骨日時、お墓の写真、追加彫刻の有無を整理して石材店へ相談してください。
焼骨の納骨では一般に火葬済みの記載を受けた火葬許可証、改葬した遺骨では改葬許可証が必要です。書類は石材店ではなく墓地管理者へ提出します。費用だけでなく、作業範囲、追加料金、安全面、墓地の規則まで確認することが、納骨当日のトラブルを防ぐポイントです。
納骨・追加彫刻を相談できる石材店を無料で探します
全国47都道府県を対象に、お墓の場所や相談内容に合う石材店探しをお手伝いしています。紹介後に必ず契約する必要はありません。指定石材店がある墓地では紹介できない場合があるため、まず墓地管理者へご確認ください。


